■マイク・ポンペオ米国務長官発言 中国領土問題を支援・あらゆる手段を尽くす
最近、米中覇権争いが加速しています。
中国は2012年ころから南シナ海において7つの人口島を造りはじめました。
国際法では「高潮時に全てが海面下に水没する岩礁を埋め立てしても領海や排他的経済水域の根拠となる島とは認められない」と定められていますが、中国は岩礁に大量の土砂を投入し埋め立てました。
そして滑走路、湾岸設備、ミサイルなどを配備し軍事拠点化し、他にも非軍事施設として巨大灯台、気象観測所、海難救助施設などを建設してきました。
そして2020年には、これら実行支配している人口島に行政区を設置すると発表し(中国の住所を持つこと)、中国固有の領土であることを主張しました。
こうして中国は南シナ海のほぼ全域の海洋資源権益(石油、ガス、漁業資源に関する権利)を有すると主張しています。
他国の領土を支配するのではなく領土の造成による領有権の主張です。
これは中国が世界の覇権を握るために次のようなことを目的としていると思います。
(1)海洋帝国となる必要があること
(2)海洋資源を手に入れること
(3)一帯一路構想の実現。
特に、中国は海洋帝国となることを強く目指していると考えられます。
人工島に対しての裁判ではオランダ・ハーグの仲裁裁判所判決では「国際法上の法的根拠がなく国際法に違反する」としています。
これに対して米国は今までも違法という認識でしたが、中国と他国間の領土問題に対して積極的に介入することは控えてきました。
他国間の領土問題は世界中になり、きりがないからです。
ところが、15日、米国務長官であるマイク・ポンペオ氏が「南シナ海での中国の主張は違法」とし米国は積極的に対抗することを表明しました。
米国務長官という立場で「中国に領有権の主張を侵害されている世界中の全ての国を支援する」「あらゆる手段を尽くす」と記者会見で表明したのです。
これは、南シナ海だけではなく、インドとの国境争い、尖閣も含まれています。
このように米国は急激に態度を硬化させています。
また、米国は中国共産党員とその家族、ファーウエイなどのハイテク企業の社員に対して入国制限するとしています。
米国の中国企業の上場廃止法案は5月に通過し今は下院が審議しています。
中国企業は長年、米国の開示ルールを無視し監査拒否を続けているので米市場に上場するアリババなど中国企業は上場廃止になる可能性が高く、その時は株価が乱高下しそうです。
また、米国は中国に対し、異例のヒューストンの中国領事館の閉鎖を求め、退去が完了しました。
ヒューストンの中国領事館がスパイ活動の拠点だという理由です。
閉鎖を求められた直後、総領事館の庭で長時間の火災が発生し、警察と消防車がきたものの、中国側に拒絶され中には入れませんでした。
退去前に機密文書などを処分したと見られています。
中国は猛反発し、総領事館がすべきでない活動は行ってないとし証拠を見せて欲しいと主張しました。
また、中国は報復措置として中国の四川省、成都にある米国総領事館閉鎖を要求しました。
スパイ活動は、中国だけではなく米国も行っていることです。
しかし、やりすぎたことが問題となっています。
中国は、米国によって今の経済成長を得てきました。
米国は中国を生産拠点、また消費地として育ててきた感がありますが、米国の技術などを奪い、ルール無視で覇権を握ろうという意思を明確に出しているので米国が強硬になっています。
米国が強硬になると中国共産党内部の争いと(共産党幹部の資産没収などを避けようとする)国民の政府に対する反発にもなります。
つまり、米中が戦争をしなくても中国が内部崩壊するきっかけになります。
米中の武力衝突があるとすると、一番可能性がありそうなことは中国が南シナ海の岩礁を埋め立てて造った人工島を米国が攻撃するというシナリオです。
これは、本土とは関係ない攻撃なので、一番やりやすい、収束しやすい争いです。
もし、そのようなことがあれば、日経225は下落すると思います。
金(ゴールド)は上昇の可能性大です。
中国が台湾に侵略しても同じです。
中国は新型コロナウイルスや洪水で経済的ダメージが大きい上、米国の態度硬化は金融危機再燃のトリガーが中国になる可能性が高くなっています。
突然の株の急落があっても良いようにしておくことが大切です。
以上