(毎週金曜日連載の日刊ゲンダイの記事です。)
現在、株式市場は米国と日本の無制限の金融緩和によって市場心理(センチメント)は強く、総楽観の相場に戻ってきています。
一般投資家も、ここが買いと思って買っている人が多いです。
このような相場は、しばらく上昇していても突然急落する可能性が高い危険な相場なので、ここで長期投資をしないでください。
危険といえば、金融の世界では、アルファベット3文字商品は危険という話があります。
今、旬の危険な3文字はCLO(Collateralized Loan Obligation)「ローン担保証券」です。
CLOは格付けの低い企業への融資を束ねて証券化した商品です。
信用リスクの高いものを集めることで信用リスクが低くなる仕組みを利用して、利回りが良くて信用度も高いという商品にしたものです。
現在、日本はマイナス金利で、マイナス金利の社債まで登場する時代ですから債券で運用しようと思っても運用できません。
そこで、安全で高利回りのCLOにお金が集まることになります。
しかし、安全で高利回りの商品というのは本当に安全なのかと疑問視しければいけません。
リーマンショック以降の金融危機の時も、同じようにサブプライムローンというプライム層(優良客)より下のサブプライム層への返済リスクの高いローンを束ねて信用格付けを上げたローンが破綻したことで金融業界に激震が走りました。
この時もCLOと同じ、信用リスクの高いものを集めることで、信用リスクが低くなる仕組みだったのです。
日本ではCLOを一番買っているといわれる農林中央金庫の2020年3月末のローン担保証券(CLO)保有残高は、約8兆円もあります。
新型コロナウイルスの世界的流行によってCLOに組み込まれた企業の財務状況が悪化してきています。
格付け機関のムーディーズは同社が格付けしているCLOのうち、約19%に格下げの可能性があると発表しています。
つまり景気後退局面になると、急減にリスクが表面化します。
結局、信用リスクの高いものを集めることで、信用リスクが低くなる仕組みは、平時であれば成り立ちますが、何かのショックがあれば、たちまち信用リスクが急増するという大事な視点が抜けていたのです。
日本の金融機関は、運用しないわけにはいかないので危険なものと分かっていても買ってしまいます。
特に横並びで皆が買っているからという理由で投資することが多いのです。
一方、一般投資家は、危険なものを買う必要がないので、一般投資家の方が優位です。
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本記事は「イーグルフライ」から抜粋編集。
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