世界の株価を上昇させてきた原因の一つに自社株買いがあります。
ニューヨークダウの上昇も自社株買いによる部分が少なくありません。
自社株買いが年々右肩上りで増加しており、
世界の自社株買い額から株式調達額を差し引いた買い戻し額が過去5年の累計で
約1兆8000億ドル(約200兆円)となりました。
自社株買いとは企業が発行した株式をその企業が買うことです。
企業は買い戻した後に消却することで発行済み株式数を減らすことができます。
自社株買いをすると株価は上昇する理由は次の3つです。
(1)株を買うこと
(2)1株当たりの配当金が増えること
(3)自社株買い報道を好感して新規買いの増加
米アップルは昨年2018年5月、1000億ドル(約11兆円)という大きな自社株買いをしました。
自社株買いが増えている理由としてIT企業が大きく伸びてきたことから
多額の資金を必要とする工場建設・設備投資は減少し、
企業の金余りが鮮明になっていることがあげられますが、根源的には経営者の利益を
追求していることが理由だと思います。
社債を発行して自社株買いをすることも多いのです。
世界中で社債の発行が急増しており9月の社債発行額は
1日あたり112億ドル(約1兆2000億円)と過去最高ペースになり、
その調達資金の使い道で大きいのが自社株買いです。
アップルも今年10月、2年ぶりに7400億円規模の社債を発行したことと、
調達した資金は自社株買いや配当などに充当することを発表しました。
さらには債務超過なのに自社株買いをするために社債を発行する企業すらあります。
自社株買いで一番メリットを受けるのは、その会社の役員です。
自社株買いにより一株当たり利益(EPS)成長率を押し上げる効果があり
役員報酬の多くはEPS成長率や株価と連動しているからです。
つまり、自社株買いをすると自分の役員報酬や退職金の上昇と
自分の保有している株価の上昇となるのです。
社債を発行して自社株買いをする行為は企業の長期的な成長を犠牲にして
役員個人の利益を優先させることになりかねません。
日銀が日本株(ETF)を購入することで企業の大株主レベルになったり、
社債を発行して自社株買いをすることなどは資本主義の末期症状であると思います。
共産主義は崩壊し資本主義も終焉に向かい新しい社会システムに変革していくという認識です。
今までの常識が非常識となることも多いでしょう。
日刊ゲンダイで毎週金曜日に連載中記事から
日刊ゲンダイWEB版にも掲載
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3756
以上
本記事は「イーグルフライ」から抜粋編集。
https://www.eagle-fly.com/mm/
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